技術士一次試験 原子力・放射線部門 概要

この原稿は

 

1. 技術士について

2. 技術士一次試験概要

3. 合格までの流れ

4. 私の勉強記

5. 受験記 ( 感想 )

6. 原子力の資格について

 

の順番です。

 

 

1. 技術士について

 そもそも技術士とはなんぞや、ということですが我が国における技術系の資格で最高位に位置づけられるものです。といっても"技術士"の資格がないとできない業務や仕事というものは無く、「技術士に合格していないと技術士と名乗ってはいけない」といった名称独占資格という資格です。

 技術士になるためには、「特定の大学の特定の学科を卒業する」もしくは「技術士一次試験に合格する」のいずれかを満たし、かつ実務を4年から7年以上経験した者が「技術士二次試験」に合格することで、技術士登録することができるようになります。

 技術士には21の専門科目が存在し、原子力放射線部門もあります。

 技術士会の統計情報によると、昭和33年から令和元年までに技術士二次試験は12万5千人合格しているようです。まあ、亡くなった方や登録しない人等いらっしゃるので人数は1桁万人だったと思います。この間技術士の方に伺いましたが正確な数は忘れてしまいました。

 

 

 

2. 技術士一次試験概要

 一次試験は専門科目、適正科目、基礎科目の三科目に分かれており、専門科目は受験者が20科目の中から受験申請時に選んだ科目となります。

 

専門科目は35問から選んで25問回答

適正科目は15問

基礎科目は6分野に分かれており、各分野6問から3問選んで回答

 

 時間は専門科目のみ2時間、残り2科目は1時間です。

 合格ラインは全科目5割以上、そのため基礎科目などは得意分野があれば苦手分野は捨ててしまってもなんとかなります。

 

 

 

3. 合格までの流れ

 申請書は日本技術士会に"申請書をくださいという申請"を送りつけると入手できます。コロナ禍のため偶々かもしれませんが、手渡しはなかったと思います。郵送申請だけ。

 そして申請書を記入し、受験料の払込をし、再び申請書を郵送することで受験申請が完了です。

 この期間としては、受験申請書配布開始が受験日の4ヶ月ほど前(6,7月)、申請期限は3ヶ月ほど前(7月)までとなっています。

 

試験日のひと月前に受験票が届きます。(9月)

 

 当日の試験(10月)は3科目に分かれ、専門科目2時間、適正科目1時間、基礎科目1時間の順番で行われ、各科目途中退室はできません。

 

 試験はすべて5択のマークシートで、試験から8日後の月曜日(試験日は日曜日)に技術士会のホームページにて正誤発表があります。

 合格発表は12月なので回答はメモしておきましょう。そうしないと自己採点ができず、二ヶ月間悶々として過ごすことになります。

 

 

 

4. 私の勉強記

 六割を目指したら六割が取れた程度の私が書いても仕方ありませんが、参考までに。

 

 まず基礎科目ですが、たくさん参考書が出ています。私は例によって図書館にてオーム社より出版されている2019年版の「技術士一次試験基礎・適正科目完全回答」を参考に勉強しました。

 しかし、まったくやる気が起きず、更に試験前日が大学外部で受けている講座のグループワークの実験日だったため、受験日一週間前は勉強どころではなく、zoom会議やら資料作成やらに追われていました。

 やったこととしては参考書にある7年分の過去問+技術士会のホームページに有る過去問3年分を回答、参考書の解説読み込みです。

 やる気が無いので1回ずつしかやりませんでした。

 ペースとしては30問全て回答して40分程度。本番は15問回答なので二周はできそうっていう感じです。

 私は工学系の学生なので情報はあまり得意ではなく、それ以外の科目は事前知識でのゴリ押しといった感じです。どの年度も7割を下回ることはなく、わからない問題も多いけど、わかるやつがあるのでまあいいか、の精神で解き続けました。

 

 

 適正科目は3年分のみ。やればわかりますが、"同じ問題しか出ません"、それにまともな倫理観と読解力があれば7割を下回ることないと思います(得手不得手ですが)。

 

 

 専門科目はマジで問題。なぜかというと参考書がないから。私が受けたのは原子力放射線部門のため、受験者は毎年百人程度であり、当たり前ですが参考書なんで売れません。幸い私はRI試験を受験予定なので放射線概論を予め学習済み(半年経って抜け落ちてますが)のためある程度はなんとかなりました。けれど放射線はわかっても原子力はわからない。プラントコストとか何だとかなんて知らないし、計算問題や並び替えは正直全くわかりませんでした。

 

 勉強方法も過去問解くしか無いので(しかも解説なし)、5年分の過去問をといて丸付け、間違った問題の復習をやりました。

 なので基本苦手分野は全捨て。専門は35問中25問答えて13問あっていればいい。つまり1/3がわかっていれば受かります。残り1, 2問は1/5を運ゲーで当ててください。

 私は法令と生物影響、処分については詳しいと自負しておりますので、得意科目を活かす戦法。あとはリテラシー運ゲーでなんとか合格ラインを超えました。

 といっても、なんだかんだ過去問を解いてて6割取れなかったのは一年しか無く、なんとかなるかなみたいな雰囲気で受験しました。

 

 

 

5. 受験記 ( 感想 ) 

 

 試験当日は専門科目からなので最初に一番重い二時間科目です。私は神奈川で受験しましたが、試験部屋には放射線部門は12人、残りは化学の人とかがいました。

 

 専門科目ですが、最初に解く問題を選んでおけば時間は余ると思います。何度か見直して計算問題をやり直したりする余裕はありました。基本的には二時間もあるので焦る必要はなく、ゆっくりとわかる問題を探し、わかる問題を確実に解く。ボーダーは5割なので知らないもんは知らなくても大丈夫です。

 

 次の適正科目は感覚です。特に語ることはありません。自らの倫理観と国語力にまかせ、十分な点数をとってください。

 

 最後の基礎科目、これも最初に分野ごとに解く問題を決めておけば、解き直す時間くらいはありました。専門科目と同じですが、得意科目があれば苦手科目を一つ捨てても大丈夫です。私は情報と解析の2つ捨てましたが、残り3科目でゴリ押しました。

 

 

 そして正誤発表の今日に至りますが、正直受かると思いませんでした。というのも「技術士補.com 」という掲示板でみなさんが答え合わせをしているのですが、それを見る限り基礎科目が1点足りませんでした。おそらく私よりも真面目にやってきた方々が話し合っている中、私の回答があってるだなんて思わないので諦めかけていましたが、正誤発表を見るとなんとか

基礎9点 (60%)

適正11点 (73%)

専門28点(1問2点) (56%)

でした。

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追記

 まあ結果として合格でしたので、意外と投票など当てにならないといった感じです。 

 けれどどちらにせよ正誤発表で合格かどうかを判断するためには自身の回答が必要なので必ずメモをしておきましょう。

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6.原子力の資格について

 

 私は原子力を学んでおりますので、その知識の客観的指標として資格を集めています。

これまでは

エックス線作業主任者

を取りました。

現在は

放射線取扱主任者(RI試験)第1種

を目指しています。(2020年12月に受験し、無事合格しました)

 

 そもそも実務無しで取れる原子力放射線系の資格は、業務従事者などの申請系の資格を除くと

・エックス線作業主任者

ガンマ線透過写真撮影作業主任者

放射線取扱主任者 ( RI試験 ) (1種、2種、3種)

技術士一次試験(正確には資格ではなく、あくまで一次試験の合格、あるいは技術士補登録程度に留まる)

・原子炉主任者

・核燃料取扱主任者

の6種類のみです。

 

実務があれば

・環境測定士

技術士

・原子炉発電所運転責任者

の3種類も追加で取れます。

 

 私は学生なので6種類くらいしか取れません。とはいえど原子炉と核燃料とは受験料が5万円ほど、合格率は20%程度です。そもそも原子力の資格を取ろうとする人は詳しい人ばかりで、原子炉と核燃料とは事業において専任が必要な資格です。だからこの二つの試験を受ける人は、長年就労し必要な人が勉強して受験しているはず、にもかかわらず20%の合格率はもはや正気じゃありません。

 

 また、X線γ線とは放射線取扱主任者 ( 1種, 2種 ) の資格があれば申請できます。

そのため、現実問題として取るべき資格、取れそうな資格は

放射線取扱主任者 (1種, 2種 )

技術士一次試験

の二つです。

 じゃあなんでX線取ったのかって言われると、RIに受かる自信がなかったからです(去年)。

 ただ、RI試験を合格しても17〜20万くらいの講習を受けないと放射線取扱主任者の資格は入手できないので、現実問題としては試験だけ合格して就職後、会社などのお金で講習を受けられたらなと思っています。そのため、来年度ガンマ線透過写真撮影作業主任者の試験日あたりが暇だったなら受験するつもりでいます。

 

 

 また、これは私の主観ですが、RI試験の2種を取るくらいなら1種を取る方が良いと思います。というのも、「そもそも1種は2種の上位互換である資格ということ」、私の感覚として「1種を取る労力を100とすれば2種を取る労力は80くらいであること」との2つの理由からです。2種の勉強では非密封や下限1000倍までの放射能の線源についてを勉強する必要が有りませんが、それ以外は基本的に同様です。確かに出題形式が異なり、2種は法律や実務の配点が高く、また、どの科目も1種と比べて半分程度の問題数なため試験の重さが異なりますが、どうせいつか1種を取ろうと思っているのであれば2種を受ける前にもう少し努力をして1種を目指し他方が却って賞味の努力量は減るんじゃないでしょうか。まあ2種受けて無いんでしらんけど。

 

 コレクターかつペダンティックな人間なので資格取得には割と全振りしてます。今後も頑張って行きたいです。

 今のところはRI1種、危険物乙1,3,4,5種の後に甲種、γ線、の資格がほしいかな。あと英語の勉強もせねばならんのでまずはTOEICも750~800点目指したいかも。

 

以上。